東京地方裁判所八王子支部 昭和35年(ワ)117号 判決 1960年9月30日
原告 小管正重
被告 小町仲次
主文
被告は原告に対し、金一八万七〇〇〇円及びこれに対する昭和三二年三月一六日以降完済に至るまで年六分の割合による金員を支払うべし。
訴訟費用は被告の負担とする。
この判決は、金七万円の担保を供するときは、仮りに執行することができる。
事実
原告代理人は、主文第一、二項同旨の判決及び仮執行の宣言を求め、その請求の原因として、次のとおり述べた。
被告は原告に対し、昭和三二年三月一五日金額一八万円、支払人株式会社三和銀行祐天寺支店、その肩書地「東京都目黒区中目黒三丁目」、振出地「東京都」なる持参人払式小切手を振り出し、原告は翌一六日支払のため支払人に呈示したが拒絶されたので、支払人をして同日付で小切手法第三九条第二号所定の拒絶宣言を記載させた。よつて振出人たる被告に対し、右小切手金とこれに対する呈示の日である昭和三二年三月一六日以降完済までの小切手法所定の利息の支払を求める。
被告代理人は合式の呼出を受けながら本件口頭弁論期日に出頭せず、答弁書その他の準備書面をも提出しない。
理由
原告主張の請求原因事実は被告において自白したものとみなすべきである。ところで原告主張の小切手では「東京都目黒区」を以て支払地とみなすべく、また振出地の記載「東京都」は最小独立の行政区画を示していないけれども、小切手の振出地の記載の効果は、呈示期間に関する小切手法第二九条第六八条及び昭和八年勅令第三一七号、「小切手の呈示期間の特例に関する件」第一条、第二条、異暦地間の標準暦に関する同法第三〇条、複本の発行に関する同法第四八条、外国で振り出した計算小切手に関する同法第七四条、遡求権行使期間の準拠法に関する同法第七九条但書等の規定の適用に関してであるが、これらの点からすれば「東京都」なる振出地の記載でなんら不都合は来さないから小切手法が小切手の記載要件として振出地を要求した目的はこれによつて達せられたことになり、本件小切手は要件をみたした有効なものというべきである(小切手法第二条第三項に規定する効力との関係における振出地の記載方法は、支払地の記載の適否の問題に帰するし、支払人の肩書地として前記の如き記載ある本件小切手ではこの関係からも問題にならぬ。)。
よつて原告の請求を理由ありとしてこれを認容すべく、民事訴訟法第八九条、第一九六条を適用して主文の如く判決する。
(裁判官 古原勇雄)